kurk board

メモ用紙を貼っ付けるコルクボードです。主に感想・雑文用。感想系はネタバレあるんで注意。

最近読んだものに関して

 ネットに記事を投稿するということについて、僕はあまりにも身構えてしまう性質のようです。まっとうなネタじゃないとダメだとか、ちゃんとしたものを書かなきゃ、みたいに。そんで「あーだめだ、書けないっていうか書きたくない」という風に自縄自縛に陥って結局何もしないという、いつもの体たらくに落ち着くわけです。
 ブログなんてもっとだらだらと書き連ねればいいのにね。
 そのために始めたんだから。
 というわけで、おもっくそハードルを下げて最近読んだものに関して、数行程度の感想をまとめて書きました。

 


マジカルデスゲーム 1、2巻(うれま庄司)

 隔離された空間で魔法少女が魔女と呼ばれる悪者を探す話。
 特殊能力持ちがプレイする『汝は人狼なりや?』がコンセプトだそうです(あとがきより)。

 文体はあまり飾ったところはありません。よく言えば人を選ばない文章です。
 本作の見どころは、疑心暗鬼が渦巻く中で吐露される女の子たちの生々しい感情でしょう。
 死と裏切りが隣り合わせになった極限状況において、明らかになる人間の弱さや利己的な心を容赦なく描写しています。それと、キャラクターが結構エグい死に方をするので、ウツ耐性がないと読み進めるのは難しいかもしれません。
 オチには結構納得できました。
 主人公はきれいごと吐いてるだけだよね?(個人的に理想を語ってあまり活躍しないというキャラに嫌悪を持つことはすくない。むしろ好印象を持つ。主人公ってのは理想を語って行動してナンボ。このラノベの主人公もそのご多分に漏れず) とか最後の魔女審判でそのキャラに投票する必要あったのか? とかいろいろ気になるところはありましたが、最後までぐいぐい読ませるだけの牽引力がありました。
 似たような系統の『魔法少女育成計画』は未読なので、今度読んでみます。


レストー夫人(三島芳治)

 『レストー夫人』という劇を通して登場人物それぞれが新しい自分との出会いを経験していく話、だと思います。
 思いますってのは根拠に乏しく、あまり自信がないから。
 果たして『本当の自分』とはどこに『在る』のか? という話な気がしないでもない。あるいは人間(キャラクター)はどう定義されるものなのか? とか。
 もしくは、劇の不自然さを通して、日常の自然さを実感していくとか、そんな感じの。
 うん。いい感じに考えがまとまってません。
 ただいま、現時点で言えることは、第三幕「アキリノとユーフラシー」での、二番目の『私たちいいお友達になれそうね』というシメのセリフは、本心だと思います。
 なぜかというと、直前の『どっちが言ったかなんてどうでもいい』というやり取りは、たぶん心が通じあったという表現ではないかと。
 この漫画に関しては納得いくように考えがまとまったら個別記事で投稿しようかと思います。あくまで思ってるだけです。


あの娘にキスと白百合を 1巻(缶乃)

 秀才さんが、天才さんに嫉妬することから始まる百合物語。加えて、陸上部の夫婦の話もあり。陸上部に関してはもうカップルという表現が生ぬるいくらいなので夫婦としました。これはもう倦怠期何度か通過してるね、間違いない。
 漫画自体の感想は、素晴らしい、のひと言。
 これほどまでに「そうそうこういうのを求めてたんだよ」という百合漫画はなかなかありません。
 恋愛へと発展するそもそもの切っ掛けが、性愛ではなく、目の上のたんこぶであるあんちきしょうをぎゃふんと言わせたいという執念によるものであると考えると、それこそが主題で、恋愛要素は従属的な物だと感じました。なにが言いたいかというと、この漫画は、少女漫画の文法で描かれている『コミック百合姫』作品群の流れをくむものではなく、どちらかというと、青年誌派生の今は亡き『つぼみ』作品群に似た作り方をしているように見えます。恋愛感情というよりは、対象人物にこだわる執念や微妙な感情の揺れ動きを主に描写していることからも、特にそうだと思いました。

 ですので、今後の展開の仕方も、お互いが恋愛感情を深めていくというタイプではなく、キャラクターそれぞれが持つ内面を掘り下げる話になっていくのではないかと思われます。