kurk board

メモ用紙を貼っ付けるコルクボードです。主に感想・雑文用。感想系はネタバレあるんで注意。

百合ものに男性キャラが出てくるのはアリか? ナシか? に対する個人的見解

 人による。ケースバイケース。

 

 一行目で結論が出たのでハイ終了でもいいのですが、せっかくなのでもう少し考えてみました。

 

 

 個人的な意見を言えば、百合ものに男性が出てきても構わないと考えています。
 それも、「脇役にならオッケー」とか「画面の端に見切れる程度なら許す」とかそういうレベルの話ではありません。メインの女性同士の人間関係や恋愛関係にある程度絡んできてもいいです。もちろんダメな方だっているでしょう。これに関しては、百合ものに何を求めているか? も関係してくると思います。たとえば女の子だけの世界に浸りたいという目的の方ならば、男性が出てくることなど言語道断だと思われます。
 このあたり、百合作品遍歴を振り返っていけば自分がどの程度まで許容できるのかが分かりやすいですね。
 僕の場合、男性がある程度かかわってくる百合もので、好きな作品は以下の通りです(無駄にスぺースをとるのでここでは漫画のみ、短編は除く)。

 

オクターヴ』(秋山はる
『プアプアLIPS』(後藤羽矢子
『GIRL FRIENDS』(森永みるく
マルスのキス』(岸虎次郎
『ゆりかごの乙女たち』(みよしふるまち)
『うつゆり』(阿部川キネコ
『citrus』(サブロウタ)

 

 こんなところです。
 男性がかかわってくる度合いは漫画によって様々ですが、『オクターヴ』はヤるところまでいってます。百合ものの主要登場人物が男性と肉体関係にまで発展してもいいみたいです。
 しかし、これまで見てきた百合ものの中でも男性が出てくる作品で受けつけないものもあったと思うんですよ。
 そういうものは、さっさと忘れる性格なので、作品名は挙げられませんが、たしかダメなのがあったはず。
 許容できるものと許容できないもの。それらを比較することでしか、「どんな時に男性が出てくるのがナシなのか」を判断することはできません。「百合ものに男性はアリか? ナシか?」という趣旨の記事なので、ある程度の結論を出そうと思ってます。でも比較できないのでは線引きができません。
 さて、困りました。
 うーん。
 と、悩んでいても答えは出ないので、少しアプローチを変えてみましょう。
 ここで「百合ものに」という制限を外して、女の子がキャッキャウフフしてるだけの作品について考えてみましょう。
 二次創作で百合ものが氾濫するタイプの作品です。萌えアニメやきらら系4コマに多いですね。
 もしもの思考実験ですが、そういった作品に男性キャラが出てくるとします。そして、女の子の主要キャラと絡んだ場合、どう思うでしょうか。
 さて、僕は『ラブライブ!』(女の子いっぱいのアイドルアニメです)に男性が出てきて、キャラクターと絡むところを想像してみます。
 ………………。
 あー……。
 うんうん。
 なるほどね。
 わかったわかった。
 発狂する準備はできているよ?
 ああ! これは一体全体どういうことでしょう!
 百合ものだと銘打たれた作品に男性がかかわってくることはある程度許容できるのに、女の子いっぱいの萌えアニメに男性がかかわってくることは許せないなんて!
 誤解なきよう断っておきますが、僕は先にあげたアニメのキャラに対して「俺の嫁!」という見方をしているわけではありません。というか作中のキャラクターをそう呼ぶ感覚がよくわかりません。
 さて、では、いったい問題の本質はどこにあるのでしょうか?
 おそらく、男性キャラクターをどこまで許容できるかは、『作品の冒頭で提示された世界観、または前提』によるのだと思います。
 『オクターヴ』では1巻の終わりに、男性が関わってくることを示唆するセリフがあります。

 

雪乃もさ――男とセックスしてきていいよ。

 

 確定的ではありませんが、このセリフによって、「ああ、もしかしたらこの話は男性がかかわってくるのかも」という予感を抱けるわけです。そして、オクターヴは社会性が描かれた漫画です。言い換えればリアル寄りの世界観を持っています。なので、男性キャラクターが出てくることに違和感などは当然あるわけはないのです。
 対して、女の子いっぱいの萌えアニメや、女の子いっぱいの女子高が舞台の百合漫画では最初に提示されたヴィジュアルから、男性キャラクターは出てこないだろうという先入観があります。加えて、この系統の作品は男性キャラの存在を示唆するようなことはまずありません。そんなところに男性キャラが登場して主要なキャラと絡んだら? と考えると、なんというか、裏切られたと感じるようです。
 もっともすべてがそうだとは言い切れません。どのように世界観や前提を読者に伝えるかという作者の腕にかかっています。
 ともかく結論は出ました。
 僕の場合ですが、「百合ものに男性はアリか? ナシか?」という問いに対する答えは、「関わってきても構わない」。「どういう場合にだめなのか?」については「作品内で提示された世界観や前提に裏切られたと感じたとき」です。
 何事もつかみが大事ということですね。